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「ほら、見えてきたぞ」
お父さんが嬉しそうに声を上げる。
「え・・・」
運転席の方へ身を乗り出しながらフロントガラスをのぞき込むと、
目の前には、なだらかな山の稜線の西側には水の張られた棚田、東側には麓から山の中腹あたりにかけて複数集落が見えてきた。
集落の上の方には荘厳な鳥居があり、その奥には神社があると想像できる。
真っ青な空と山の緑のコントラストに季節を感じる。
見知った風景への懐かしさに目を凝らしながら、
昔の思い出と、最近起きた嫌な出来事への嫌悪感の間で揺れていた。
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