ℱの音色
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ℱの音色
遠い昔のようでいて、つい昨日のようにも思える。 でも本当は、五年という年月が経ったのだ──遼がいなくなったあの日から。 今だって、目を閉じればあの銀色に輝く華奢な楽器が真っ先に浮かぶ。 その上で踊る指は私のもの? それとも──…? 私は静かに目を開けた。遼はもういない。 逝ってしまったのだ──私と、このフルートを置いて。
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