ℱの音色

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恐る恐る目を開ける。と、そこに遼の姿はなかった。 「──遼!」 さっきまで遼が立っていた場所に駆け寄る。 けれどもう、そこには誰もいない。 私は思わず座り込んだ。 「遼……っ」 どんなに呼んでも遼が帰ってこないことはわかっていた。 でも呼ばすにはいられなかった。 と、タイルの上に何かが落ちているのが目に入る。 銀色の物体だ。 さっき飛んできたものに違いない。 やっと再会できた遼と私を再び引き離した──…。 (え……これって……)
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