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私ははっと声のした方を振り返った。
「遼……!」
私は自分の目を疑う。さ
っきいなくなったはずの遼が、そこに立っていた。
私のよく知る、少し困ったような、でも同時に優しく見守るような表情だった。
『いい? 間違っちゃだめだ。ちゃんと生きて。若菜ちゃんだけは』
「……!」
そうだ。
遼は幼いころからずっと、私のことは「若菜ちゃん」と呼んでいた。
一度も呼び捨てにしたことなんてない。
どうして気付かなかったのだろう。
「助けて……くれたの……?」
かすれる声で問いかける。
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