蛇型第1話

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 でも、悟は考え直した。康之はかくしごとをしていてもそれは悟に知られたくないことだろう。悟にも康之に知られたくないことはあった。  悟の体力にあまり自信がないことなどや、黒山に恋しているような気持ちを持っていることだった。  康之は隠し事なんてするだろうか。しないだろう。悟は疑うことをやめた。黒山は悟に隠し事をしているらしかった。当たり前だ。悟は気分は悪くなかった。それぞれは自分自身の人生を歩むのだということだと悟は考えた。悟と別れて康之は自宅に帰って行った。  悟は高校受験のことを思い出したが、黒山のことの方が大事なような気がした。蛇型の異星人が地球に戻ってきた。あいつドラゴンだったな、と少し怖かった。  悟の機嫌は良くなった。黒山は何を調べているのだろうか。地球人の生活かな。悟はそんなことを考えながら一人で道を歩いていた。  帰宅すると悟は勉強するために机の前に座った。スマ―トフォンを取り出して黒山のLINEを見た。 「気になっちゃって」  と書き込まれていた。もしかしたら異星人の調査だけの関係ではなくなったのではないのかと悟は考えていた。  悟はどんな返事をしたら良いのか迷っていた。                         (了)
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