福の金

1/3
前へ
/3ページ
次へ
 空に誰もいない宝船が浮かんでいた。  その時は対して気にしなかった。  けれども、確かに空に浮かんでいたんだ。  この目で見たから本当なんだ。  お金がない。  ここ米満商事では皆、噂話と一緒に狙っている。  誰も彼もが伸るか反るかの一獲千金のチャンスを掴もうとしている。  けれども、あんな結果になるなんて……。  世の中には不思議なことが多いんだ。  ある者はヘリコプターで向かい外観を物欲しげに見て。  ある者は勇気をもってビルの窓際から飛び込もうとし。  ある者は宝船を指を咥えて眺めているだけだった。  俺は二番目。  勤め先が幸い高速エレベーターが必要な高いビルだった。  だから勇気を出して飛び乗った。  甲板に降りた俺は船内へ入ると、金銀財宝に、大判小判がざっくざっくとあって驚いた。  幾人かの仕事仲間はもう来ている。  俺は小判を数枚だけ持ち出し、数分で黄金色の船内から甲板へ出た。  この宝船の中の財宝は、きっと重要文化財など国宝などと言われるのだろう。  俺には関係ないさ。  なぜなら結婚資金が必要なだけ。  甲板からビルへ飛び乗ろうとした。同じ会社で一番綺麗な霞さんがこっちへとジャンプをした。 前から霞さんは好きだった。  ビルの窓際から俺は言った。  
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加