第10話 因幡の白兎の予言は、国家間大戦争の口火を切った その3

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 琴は楽器で鳴り響くものです。そして音楽は文化の高さを象徴します。  強大な軍事力を示せば、出雲国に協力しようとする周辺諸国が出てきます。それが少数民族国家ならば、軍事力を示すだけで追従してくるでしょう。  ところが、高い文化を持つ大国が相手ではそうはいきません。使節がやってきて、出雲国の軍事力だけでなく、文化の高さを見定めようとします。そこで威力を発揮するのが、大きな宮殿や音楽です。  使節は建物の巨大さに圧倒され、美しい音楽に心惹かれるでしょう。須佐之男命は、その辺を抜かりなくやれ。と、大国主命へアドバイスしたのです。  スゴイでしょう。これは大国主命への罵詈雑言どころではなくて、念密に計画していた政治プランを伝授したように読めてしまいます。  須佐之男命は大和朝廷(邪馬台国)を追われた後も、長く朝廷の支配下にありました。根之堅洲国は朝廷の属国として、きっと屈辱的な扱いを受けていたにちがいありません。しかしながら反乱を起こしたくても、朝廷の強さや恐ろしさを熟知しているので、おいそれとは動けずにいたのです。   そこへ因幡の民に推された大国主命が、朝廷へ反乱を起こした知らせが入りました。須佐之男命の心情として、窮地に立たされた親戚へ全面的に協力したいのはやまやまです。ですが国の統率者として、出雲国へ味方して敗北した場合のことも考えなくてはなりません。  そこで須佐之男命は、朝廷には大国主命を殺害しようとしているように見せかけて、その裏側では出雲国を応援する、という策略に出ました。つまり国家間大戦争が始まって、出雲国と大和朝廷のどちらが勝っても、根之堅洲国は生き延びることができるという妙案を須佐之男命は思いついていたのです。  いやぁ、須佐之男命はなかなかの知恵者ですねぇ。だてに長く苦労していません。イメージ的にですが、大河ドラマで草刈正雄さんが演じた真田昌幸を連想しますね。  それではいつもよりも長めにヨタったところで、「その3」は終了したいと思います。 続きは、また近いうちに……。(今度は嘘つきにならないようにしたいです) (;^ω^)
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