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オシャレなソファーとテーブル、無数の引き出しが設置された棚。そしてラグが敷かれた床の上に、三匹の猫がいた。
黒、白、ミケ。どれも可愛い顔をしていて思わず頬が緩む。
(なにここっ、天国!?)
あやめは滴り落ちるヨダレをぬぐい、頭を振って正気を保つ。
部屋の片隅にはやはりスーツの男が立っていて、大きなデジタル時計を掲げて見せた。
現在時刻は11:00ちょうど。男は指を三本立ててみせた。
(三分……ね)
制限時間は三分。まずは手ごろな引き出しに手をかける。
取っ手を引いて開けるタイプだが、少しかたくて開きにくい。
引き出しの数は全部で20。1つ開けるのに20秒だとして、400秒=約6分。全部は開けていられない。
「ニャ~」
「クルル」
「ニャアニャア」
3匹の人懐っこい猫があやめの足元に寄り添い、すりすりしたり足に猫パンチをしてくる。
(いやああああ‼ もふもふしたい撫でたい抱き上げたい)
唇を噛みしめてぐっとこらえ、次々と引き出しを開けていく。
(本当にここ? どこかにヒントがあるのかしら)
引き出しを開けつつ、部屋全体に注意を払う。
残りは1分を切っていた。
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