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それでも最後まで集中力を切らさずに(足元のもふもふが凄く気になるけど)諦めず、引き出しを開く。
残り30秒──あった‼ 鍵だ。
それを持ち時計の男の隣に設置された扉へ走る。
(鍵が合わないとか、そんなトラップはないわよね)
鍵はすんなり回った。男はそっと時計を伏せた。時間は残り10秒だった。
(よかった。クリア……ね。最後まで諦めなくてよかった)
見送ってくれる猫たちに手を振って、あやめは次の部屋に進んだ。
『試練』は残り2つ──
次の部屋は至ってシンプルだった。
部屋の中には扉を除きシングルベッドが1つ。それだけだ。
「休憩しろってこと?」
例の男が傍らに立っている。ベッドを指さし自分の顔の前に持っていく。『静かにしてください』みたいなポーズだが、これは制限時間の合図ね。
一時間寝ろ。が指示みたい。昨日からほとんど寝ていないから休息はありがたい。
けど、こんな素敵なふかふかの──腰を下ろすとふわっと太陽の匂いがする。ベッドに沈み込んでいきそうな錯覚におそわれた。
(ここで寝たら、絶対一時間じゃ起きられない)
だけど、それが『試練』なのだから打ち勝つしかない。
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