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……このまま……明日から……本格的に……明日から本気で……。
「だあっ‼」
掛け声一閃‼ 布団を蹴り上げて上半身を起こした。
時刻はアラームの鳴る5分前だった。
スーツ男はちらりと時計に目をやった。
「お目覚めですね」
「危なかったわ。寝過ごすところだった」
気合で起きたものの、意識は混濁するし気持ち悪いしフラフラするしで気分はサイアク。
でも頭は不思議と冴えてるの。
何が明日から本気だすよ。今を頑張れないのに、明日から本気になれるワケないじゃない。
明日になったら本気だす。そして明日になったらまた明日、ずーっとそう言って明日を追い続けるなんてゴメンよ。
頬をバンっと叩き次の部屋へ。これが最後の試練ね。
入室。今までと違って出口が2か所ある。黒い扉と白い扉。
(……? どちらかが正解か不正解ってこと?)
少し広めの空間。中心に何か置かれている。私の目線の高さに設置された台の上に、ボウルを逆さまにかぶせて取手を付けたような形の蓋があった。
「これって確か、バラエティ番組で料理がワゴンで運ばれてくる時の演出で出てくる……」
そう、正式名称は確か──『クロッシュ』ね。
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