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殺伐とした雰囲気が漂っている。
この場所に一人の男が妻と見られる女性を守っている。
「てめぇ・・どうしてだ!何で・・」
そして、その男性がそう言うと、真正面にいる男はこうぼやいた。
「君のその態度が気にくわなかったんだよ。そんな汚い口調で、たいして頭も良くない。それなのに、何でか知らないが、誰にも彼にも、好かれるところがね」
その男はきっと今まで人の光が当たらない所にいたのだろう。
細身で黒縁の眼鏡はともかく、そのオーラから秀才と呼ばれるような、そんな風貌をしている。
「へっ、そうかよ。だがな、お前は判ってない」
「ふっ、何を偉そうに・・」
その男は覚悟をしていた。圧倒的な能力の差を今の自分では埋めきれないと。普通に闘えば負けるだろうと。
恨まれるような事をした覚えはない。だが。
「来未くん、私はいいから。早く逃げて!」
妻がそう言う。だが、一人で逃げる程駄目になった覚えはない。だから。
「バーカ!愛する女を守れなきゃ俺の心が駄目になる」
妻を、そしてあいつらを、みんな守れるなら。
「来未くん、でも、どうやって・・」
「ありがとうな。真美・・ずっと愛してる」
そう言うと、男の手から何かの魔方陣が現れた。
「うそっ・・!もう二人分の転移は・・ってまさか!」
「じゃあな!皆に宜しくなっ!」
そして、転移魔方陣は、徐々に光が強くなっていき。
「待って!ねぇ、待って!嫌だよ。来未くん!」
「ごめんな!」
シュンッ・・
そして、転移魔方陣は無くなり、妻の真美は居なくなった。
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