Immigrant Song

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「ちょいと近所のやつに声をかけた。シーチャってやつだ」 「賛同してくれそうな人?」 「わかんねえけど、シラフだったら仲間になってくれると思う」  シーチャと知り合ってから、シラフだったのを見たことがないが。でも決して酒のために俺を売ったりはしなかった。それだけでもヤツを信じるに値すると思う。 「秘密、守れそう?」 「ああ、どんなに酔っ払っててもよけいなことはしゃべらないだろう」  それだけの頭があるとは思えない。リルゥはあきらかに不安そうだ。 「恋をしているのかしら?」 「アハッ、シーチャが恋?そりゃあちょっと、突拍子もない考えだ」 「なぜ?下級市民なんでしょう?」  おい、おめえ。下級市民をなんだと思ってんだ。猿かなんかと勘違いしてんのか、ええ? 「シーチャは恋に酔いしれているわけじゃあねえ。もっと現実的に酔っ払ってんだ」 「ふーん…まあいいけど。わたし、あなたにこの運動のリーダーになってほしいの」  俺の腕を掴み、期待の眼差しを浮かべる。マジか?俺がリーダー? 「どういうことだ?」 「その方がいいって思うの。あなたはうーん、なんていうか、説得力があるわ。行動力も。リーダー向きだと思う」 「俺がリーダー?バカいうな。俺は学校もろくに行ってねえし、頭の回転も鈍い。何にも考えてねえんだから」  俺は今この瞬間しか生きちゃあいねえ。明日はどうなるかわかんねえ。とりあえずメシだ。それを手に入れるために女とキスをしてる。  愛だとか恋だとか、そりゃあ嘘でも言わねえと、今日を生きられないからだ。本気で思ってるんじゃあねえんだ。
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