Immigrant Song

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「理論的なこととか、作戦とか、行動指針とかはわたしが考える。でもわたしはあんまり、目立つといっぱい敵作っちゃうから、動きにくくなるし、わたしが普通市民じゃないとあなたも困るでしょう?」  困んねえよ、別に。めんどくせえ女だ。クソッ。 「わあった、わあった、リーダーでも、リコーダーでもなんでもやってやらあ。そのかわりだ、リルゥ。条件がある」  俺は目を細めて、彼女をにらむように見る。彼女は俺から離れて、蛇から身を守るように身構えた。 「何?」期待と恐怖、リルゥの目に浮かぶ。どうやってそんな芸当を思いついたのか。    「嫉妬はいらねえ。女はだいたい嫉妬で身を滅ぼす。俺が太陽よりも偉くなっても、俺を羨ましく思っちゃいけねえ。俺がどんなにいろんな女ともしくは男と付き合っても、キスをしてもそれは全くリルゥ、お前には関係のないことだ」 「わたしは女としてはもう用無しってこと?」  彼女が半ベソになった。せっかくの化粧が台なしになるぞ。ええ。 「そういうわけじゃねえ。おめえに順番が回ってくる時もあるだろう。でも俺たちが獲得しようとしいてるのは自由恋愛じゃなかったっけ?自分がいいと思った相手と、何をしてもいいっていう権利を取り戻そうって、そんな話だったと思っていた」    嫉妬、束縛、それは自由な恋愛にはふさわしくない。愛は一瞬の永遠をはらんで昇華していく。 「わたしも誰かいい男を見つけて、仲良くなってもこの運動は一緒に続けるってことね。そういうことね」  リルゥ。俺よりキスのうまい男はこの世にいねえと思うが、見つけられるならそれもいいだろう。 「ああ、それで問題ない。あとは仲間探しだ。慎重にやらないと俺たちは刑務所か強制入院で政府に洗脳教育を受けるだろう。そうなったらもう、女がどうの、男がどうのキスがどうのとか、まったく心の中からこそげ落ちてしまうだろう。ええ」  俺は今度はリルゥの尻をわし摑みにして、おれの腰骨のところにリルゥの敏感なところを密着させた。  おったてたモノを擦り付ける。彼女の口が少し開いて息が漏れる。呼吸が浅く荒くなり、ゆっくりと目を閉じる。  リルゥ。お前が払った代償は意外と高くつくかもしれない。
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