Whole Lotta Love

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 昔話なんてどうでもいい。おれは常に今を生きなちゃならない。明日のことより今日のことが心配だ。  それでもチュッパは物欲しそうな、せっかくここまで来たのに…そんな顔でおれを見る。 「しょうがねえ、ちょっとだけだぞ」  おれはベッドに彼女を押し倒し、最初はソフトに唇を味わうように、しだいに舌を使い、彼女も応えて、長いキスをした。  おれはモノをおっ勃てて、ズボンのうえから彼女にこすりつけてやった。彼女はそれに気づき腰を浮かせおれにしがみついた。    長いキスだったがおれは突然やめ、チュッパから降りてベッドサイドに立った。彼女を見下ろす。目がうつろだ。口も半開きになって、すこしよだれがついてる。 「おしまいだ。チュッパ。差し入れありがとう。明日も、持ってきてくれてもおれは多分断らないだろう」 「……」  彼女は答えない。カビの生えた天井を見つめ、なにかを思っている。おれには関係ないことだ。 「早く帰らないと、レギュレーターに見つかって、なんとかポイントを奪われるぞ。せっかく苦労して普通市民になったんだ。いまさら下級市民には戻りたくないだろう。べつにセックスできないぐらいどうってことないじゃないか。まあ、なんていうか、他に楽しみはいっぱいあるんじゃね」  はやく帰ってくれねえかな。お気に入りのラジオがもうすぐ始まるんだけどな。毎日欠かさず聞いてんだけど。  もう十分サービスしたじゃねえかよ。 「サイッッテイ!」チュッパはそう言ってベッドから飛び起き、おれには目もくれず、ドアを思い切り叩きつけて出て行った。『ドーン!』  頑丈な鉄の扉が大きな音を立てる。部屋中に埃がまった。  俺が最低なのか?それとも自己嫌悪で言ってんのか?その両方かもしれねえ。ストレス溜まってんだなたぶん。  俺はラジオをつけた。楽しみにしていた番組は始まったところだった。よかった間に合った。今日も生きていけそうだ。
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