Whole Lotta Love

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Whole Lotta Love

ジトジトと長い雨が続いた。俺は気分が滅入り、働く気が起こらずアルバイトを無断で休む日々が続いた。  寝ぐらに一日中いて、ラジオを聞いていた。ここに泊まっていた先客が忘れいていったものだ。  何か世間では大変なことが起こっているらしいが、どうもニュースというものは難しい言葉がたくさん出てきて、理解できる部分が少ない。    冷蔵庫をのぞいても何もない。働いてなんとかポイントを貯めて、普通市民にならなきゃ、自由に買い物もできないから、ちゃんとアルバイトしなきゃならないのだけれど、俺はヘマばっかするし、先輩や店長は俺のやらかしたヘマのせいで、自分の市民等級が下がるからって、俺を辞めさせるためにきつい仕事ばかりやらせる。  好きでヘマばっかしてるわけじゃない。頭の働きが皆よりも少し鈍いせいもあるのかもしれない。  ラジオで音楽がかかるとホッとする。日本語の歌でも外国語の歌でも、リズムとメロディーがご機嫌なら、この鬱々とした気分をしばらく忘れさせてくれるからだ。 「腹減った」声に出してみた。小さな窓から差し込む光が、俺の独り言を吸収する。誰かメシ持ってないかな。  どうする?チュッパに頼むか?
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