Heartbreaker

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 恋なんてものを、誰だって信じてるあわけじゃあねえんだ。でもな、そこに魔法がかかって、俺たちは飯のタネにすることを覚えたんだ。 「あら、やっぱりあなたも政府とおんなじ考えなのね。やだ。恋をしなきゃ、誰かを愛さなきゃ、なんのために生きてるかわからないじゃない?」  リルゥが言う。おれを見ながら。おれは関係ねえだろう? 「じゃあ、あなたは誰が好き?」  チュッパが切り返す。 「……まあ、ジジのこと嫌いじゃない。うまく説明できないけど、今時あんまりいない男だと思う」リルゥが答える。  きな臭いぞ。ジャブの打ち合いが始まった気がする。 「そう…私も嫌いじゃないけどね。友達としては、いいやつだと思う。私はほら長い付き合いだから」  チュッパがおれに目線を送る。みんな交友範囲が狭すぎやしないか。 「私は他にもボーイフレンドいるんだけど、今日は都合が悪いから来れなかったんだ。次の会合の時には紹介するね」  リルゥがダメをおす。 「おう、おう、もうわかった。それぐらいでいい。具体的な活動ってやつを聞かせてくれ。地下合コンでも開くか。あんまりおおっぴらにやると、政府のレギュレーターに見つかんぞ」 「まずは軽く小手調べっていうのか、自由恋愛禁止委員会の委員長を襲おうっと思ってる」 「えっ、まじ?襲うってやばくない。全然小手調べじゃねえじゃん」 ジャズがまた、椅子にしてたゴミ箱から転げ落ちそうになる。 「本人をどうこうしようっていうのじゃない。ただ委員長の公用車を襲うつもり。ガゾリンに砂糖か何か入れたら、走行不能になるって昔本で読んだことがあるわ」 「ベイベ、そりゃあ昔の都市伝説だ。ガソリンに砂糖は溶けねえ」  ジャズが一通り、油の性質の説明を語りはじめた。一同はキツネにつままれたようにポカンを口を開けて聞いていたが、化学式とかには用がねえし、リルゥは我慢できずに割って入った。 「じゃあ、どうやったらいいの?」 「梅酒を入れりゃあいいのさ。アルコールには砂糖は溶ける。水と油は混ざらないけどアルコールと油は混ざる。梅酒はたっぷり砂糖が溶けてる。どうだエンジンが糖で焼き付くはずだ」 「梅酒があるなら、出してくれよぅ。なあ、ジージ。梅酒でもパーティはできるだろう?ええ」  シーチャが酒の匂いを嗅ぎつけて、会話に入ってきた。  
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