今は昔竹取の翁という者ありけり

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 つまり、私は、あの地震のせいで、何故か飛鳥時代にいるってこと? もう、正輝さんには永遠に会えないの? そんなのやだ…… 正輝さんに会いたいよ。 正輝さん…… 私は、あふれる涙を止められなかった。 「お姫さん、どうしたんじゃ?  わしらが、ちゃーんと、お姫さんのお屋敷まで  送り届けるで、そう、泣かんと……」 おじいさんがうろたえながら、慰めてくれる。 「まぁまぁ、とりあえず、中にお入りなされ。  ゆっくり聞けばええじゃろ」 おばあさんは、優しく私の背をさすってくれた。 私は奥に通され、おばあさんに促されるまま、床に腰を下ろした。 「それで、お姫さまは、  なんぞ覚えとらんのかね?  村の名前とか、お屋敷の名前とか……」 私は首を振る。 「私には、帰る家などないのです」 それだけ言うのが精一杯だった。 それを聞いたおじいさんは、一瞬、驚いたように目を見開いたものの、うんうんと大きく頷いて、 「なら、ここにおったら、ええ。  ここには、わしら2人しかおらんで、  遠慮も要らん」 と言ってくれた。 おばあさんも、即座にそれに同意してくれたので、私はしばらくの間、この家でお世話になることになった。
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