射的の名人

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まだまだ残暑の厳しい8月中頃の夜。 この町で毎年恒例となっている行事夏祭りの日がやってきた。 今年も夏祭りの会場に使われている大きな公園は賑わいを見せていた。 「ねえパパ、あれ欲しい。」 まだ小学校に入学する前くらいの少女は射的屋に置いてある大きなクマのぬいぐるみを指差した。 「あのクマのぬいぐるみか?別にここで取らなくても今度買ってあげるよ。」 とても射的の弾で取れなさそうな大きさのクマのぬいぐるみを見て父親は娘に諦めるよう促した。 「いやだ、あれがいい!」 そういうと、この場から離れたがる父親をよそにその場から絶対に動かないという意志を示すように道に座り込んだ。 何が少女の心をそこまで掻き立てるのかわからなかったが、このままだと埒があかないと判断した父親はしぶしぶ射的にチャレンジすることにした。
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