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恭子はベッドに突っ伏しわんわん泣いた。
洗濯したばかりのシーツから優しい香りが漂う。
「あっ……」
恭子は思い出した。
布団のシーツを洗濯する際、へそくりをベッドから他の場所に移動したのだった。
恭子は起き上がって箪笥の引き出しを開け、アルバムを取り出す。
隙間の少し広がったページを捲ると、白封筒に入った十万円と、夫婦が笑顔で写る懐かしい写真。
「この笑顔を私が見ることはないのね」
また涙が溢れてくるのと同時に怒りもこみ上げてくる。
「慰謝料ふんだくって全部へそくりにしてやる!」
言った後、暗い部屋を見回し考える。
「誰もいないのにへそくりって……」
恭子は少しだけ笑った。
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