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「ねえ、みんな! キャンディーをあげるよ。この袋から一個ずつ取ってっていいよ。
あっ、ちょっと待って! 貴方にはこっち。このキャンディーをあげるわ」
そう言って、私が胸のポケットから取り出した生温かいキャンディーを、貴方はどう受け止めるのかしら?
それは、見た目は袋の中からみんなに配ったのと同じモノ。
だけど、わざわざ他とは別にしておいたモノ。
「それね、とっても美味しいのよ。ほら、包み紙もキラキラして綺麗でしょ? 私の一番お気に入りなの」
私が笑顔で貴方の掌にピンク色の一粒を乗せたら、貴方は微笑み返してくれた。
でもなかなか口には運ばないのね、そのキャンディー。
わかってるわ。どうして自分にだけそんなモノを渡すのか、疑問に思ってるんでしょ?
もしかして口にするのが怖いの?
何か怪しい仕掛けがしてあるかも知れないから?
実はそうなの。
それは貴方への想いをたっぷり込めた、“特別”な普通のキャンディー。
貴方が私に好意を持って食べてくれたなら、それは甘くて美味しいキャンディーだし、私を拒絶して食べてくれないなら、それは苦くて不味い毒入りキャンディーよ。
つまりこの答えは貴方の中に有るの。
だから、私も知りたい。蜜になるか毒になるかは貴方次第だから。
貴方の手のひらで、更に温まっていくそのキャンディー。
さあ、どうぞ食べてみて。
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