3. 深雪

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 注文をし飲み物が運ばれ一息つく…。  人見知り疑惑ありの深雪は、自分から話をする気はないようだ。  10歳近く歳の差があるからな。仕方ない…無難な話題を振ろう。 「趣味はある?」  知りたくないが聞いてみる。 「………。」  え…?沈黙…!無視……!?  それとも趣味って10代には死語なのか?  Emotion(エモーション)をモジって感動するをって言うように、シュミはSimulation(シュミレーション)で、とんでもなく壮大な意味があるとか…。 「……えっと、…たま」 「ん?なになに?」 「……水玉の絵を描くのが好きなんです」  おおお、趣味って通じていたか。よかった。  でも、考えた結果が水玉の絵?変な奴……。 「へえ、水彩画?」 「特にこだわりはないです。鉛筆でもクレヨンでも…スマホでも、無心になれるというか」 「面白いね。ストレス溜まりやすい方なの?」 「………。」  おい、黙るな。地雷踏んだかと思うだろ。    考えているなら「えっと…」とか繋ぎの言葉を放ってくれよ。 「多分…そうです」  …もっとテンポよく会話しようぜ。  今の10代ってみんなこんな感じなのか?  栄養が脳にいってないぞ。ちゃんと肉食べてるー? 「もしよかったら、絵見せてよ。」別に見たくないけど。 「え!恥ずかしいです!そんな!」深雪は真っ赤になって動揺する。  俺、絵って言ったよな。パンツとかおっぱいとか言ってないよな。 「まあ、恥ずかしいよな。」…別に見たくないからいいけどさ。 「あの、そこまでおっしゃるなら…」    熱望した覚えはないが、深雪はカバンからスマホを取り出し見せる素材を選ぶ。  しまった…。また沈黙が続いてしまう…。 「これです…。絵の具使って描いたんです」  5分以上の時間を費やし、深雪は渾身の作品を見せてくれる。 「へえ、上手だね。」お世辞じゃない。神は一つくらい才能与えるよな。 「え、そんな。…嬉しいです。有難うございます」深雪は初めて笑う。 「本当に綺麗な絵だよ。大学は美大とか?」  不覚にも…笑顔がそこそこ可愛いかったので優しくなる。 「専門学校なんです。絵というよりゲームクリエーターの」 「へえ!かっこいいじゃん。どんなの作っているの?」  深雪はさっきより真っ赤になって恥ずかしがる。エッチなゲーム?まさかな。 「柳さんにお願いされたら断れません…」  だからそんな望んでないってば…。  料理が運ばれてきたが、深雪はスマホを操作している。  仕方ないので先に食べ始める。    深雪は10分近くかけて、用意した動画を差し出す。  見た途端、口に入っていたパスタを吹き出しそうになり咳き込む。  深雪が見せてくれたのは、いつしかの朝陽を彷彿(ほうふつ)させる、ケモノの耳をつけた男子が踊っているゲームだった…。
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