3. 深雪

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 朝陽がケモ耳をつけて接客をしていた時は、頭がおかしくなったと思ったが……需要に応えていたんだな。 「ケモ耳男子好きなの?」 「え!わひゃ!あの…ちょっとだけ…」  ……これはガチで好きだな。 「俺の友達がコスプレしたんだ。ちょっと待って…。はい、これ」  3年前に朝陽が「ブッとべ!ケモ耳の森」の源氏名で店に出ていた時の写真を見せる。  お気に入りに登録しているので、すぐ出せるのだ…。 5406f1be-9247-4caf-a4b3-03b6fddf2731 「ふはっ〜〜!こ、これは!まさか実在するなんて…!!」  深雪はUMA(未確認動物)を見たかのように驚く。 「おう。普段はスーツを着て素性を隠しているんだ。夜になると女の子を口説きに繁華街を徘徊する。」正しい生態を深雪に教える。 「はうあ〜。感激ですぅ〜。」深雪は奇声を上げた後、自分のスマホのアプリで素早くデッサンを描いた。 「へえ!そんな簡単に絵を描けるんだ!」  俺もコンサル業だったので、スマホでプレゼン資料を作ったりしていた。  深雪みたいなクリエーターは活用の幅が広いんだろうな。 「はい。フリーのアプリです。簡単に加工もできます。」  深雪は俺のスマホにアプリをダウンロードし使い方を教えてくれる。  2人でお絵描きをしていたら、あっという間に15時になった。 「深雪、サブスク終了の時間だよ」 「はひゃ!もうそんな時間ですか?タイムリープしちゃったみたい」 「フハッ!楽しかったからな」 「ええ、凄く。男性とお話しするの苦手なんです。今日は柳さんでよかった」  本音か営業トークかわからないが、深雪は目を合わせてくれるようになった。  会計を済まし店の前で別れる……。  さて…相場を知るために三軒茶屋の不動産物件をまわろうかな。  テクテク歩きながら小春ちゃんと深雪について考える。  小春ちゃんは完璧だけど「彼女」としてみるとビジネス色が強いかもしれない。  一方、小雪は特別感はあるけど、利用する男性側も人見知りの可能性が高いのでクレームがつくかもしれない。  考えを巡らせていると、正面からすれ違ってきた男性と肩がぶつかる。 「あ、すみません」とっさに謝ると、男性はこっちを凝視している。  なんだ?やんのか?と相手をしっかり見ると、小太りのブサイクな若者だ。  喧嘩したら勝てそうだが、メンヘラ(精神病)男かもしれない。 「あ、あなた深雪ちゃんと、さっき、デ、デートしてましたよね?」  黙っていると男はドモりながら質問をしてきた…。
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