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5. ナッキュ
次の日…サブスクは夜なので、昼はマンションの荷物整理をする。
そろそろ昼飯でも食べようかと思っていると、朝陽から連絡がくる。
中目黒にいると言うので、目黒川付近のバーガー屋でランチをする。
オフホワイトのスラックス、薄ピンクシャツに黄色のサマーセーター。
今日の朝陽はテレビ局のプロデューサーみたいなハレンチ感がある。
「調査は順調?」
黙って朝陽を観察していると質問される。
「ああ、まだ2人しか会ってないけど…。バラエティー豊かっぽいぞ」
「月子の本業は化粧品やエステのビューティー業界だ。美意識が高い女性が多いはず」
深雪の化粧っ気のない顔を思い出す。彼女は例外なのか…?
「じゃあ本当に新規ビジネスに参入だな。日曜に会うの楽しみだ」
「率直にアドバイスしてくれ。気づいた事は何でも」
「あ…そうだ、ホストって確か指名制だろ?」
「ああ、老舗のホストは永久指名制が多い。一度指名すると変更はできない」
「なんでまた?」
「理由は主に2つある。1つはホスト業界はツケで飲む客が多く指名されたホストが肩代わりするシステムだ。指名が複数だと回収が煩雑になる。2つめは単純にホスト同士の争いを避けるためだ」
「どっちも運営側の都合だな。サブスク彼女は指名制自体がないんだ」
「なるほど。コンセプトが違うんだな。ホストは客をハマらせてなんぼの世界…お互いリスクは高いが一蓮托生だ…」
ひぃ、なんてゲスい商売だ。
「客とは肉体関係はあるのか?」そこはちょっと興味がある。
「なくはない。女性を喜ばせるのが仕事だからな」
「朝陽って名前が泣くぞ。夜に輝きやがって…」
「ホストの世界は夜が朝だ。問題ない」
くそー。何を言っても上手く返しやがって。
しかも近くの席の女性はチラチラ朝陽を見て意識している。
「そういえば何で中目黒来たんだよ」
「お前に会いに来たんだよ。あと、新規開拓として中目黒女子の観察」
「どうせ後者がメインだろ。俺はサブスク調査で忙しいんだ」
「あはは、悪いな。まあ、指名制は改善項目ではあるな。じゃあ日曜にまた会おうぜ」
朝陽は会計を払い一緒に店を出る。
先ほど朝陽を見ていた女性客はまだ視線を送っている…。
朝陽は俺に別れを告げ、店に戻り新規顧客開拓をする。
やっぱ借金は無利子にしよう。
↓寺島かなたさんからプロデューサー風の朝陽頂きました↓ かなたさん♪有難うございます!
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