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日曜の昼、約束時間より早めにダヴィンチに到着する。
ダヴィンチは大学時代に朝陽と頻繁に通っていた喫茶店だ。
マスターがレオナルド・ダヴィンチを崇拝しており、店には彼が模写した絵がたくさん飾ってある。
絵はよく分からないが、マスターの熱意が伝わってくる作品だ。
昼時なので「男ウケ抜群オムライス」を頼もう。
マスターと雑談をしていると朝陽が現れる。
「おい、いつもの折りたたまない傘はどうした?」
2年前に会った時、朝陽はいかにもホストなチャラい格好をしていた。
雨と喧嘩に使えそうなイカついセカンドバックがトレードマークだったのに…。
「折りたたまない傘?何のことだよ。いきなり下ネタか?」
「服装だよ。昼仕様なのか?」
今日の朝陽はグレーの細身のスラックスにブルーのジャケットを着ている。
コンサル業界にいそうなビジネスカジュアルだ。まさか俺への当てつけ?
「ああ、最近は綺麗目カジュアルにしてる。店変わって客層が違うんだ」
「え、じゃあ源氏名は『ブッとべ!ケモ耳の森』じゃないの?」
「お前…相変わらず人の黒歴史好きだな。性格悪いぞ。あれはイベント用につけた臨時名だ。」
「仕事がクソ忙しい時は、どこかでケモ耳も頑張っていると思って乗り越えてきたのに…」
「まあいい。あれ登録した?」
「おう。今日17時から会うぞ」
「さすがプロ。仕事が早くて助かる。サイトどうだった?」
「サイトデザインは悪くないが、好みの女性についての質問は今すぐ変えた方がいい。例えば、清純派とギャルの2択じゃなく、複数選択制にするんだ。用意できる女の子のバラエティが多いって思わせるんだよ」
「なるほど。月子は友達のWebデザイナーに頼んだって言ってた。デザインはいいけど中身がないのか。伝えとく。」
「おう。質問自体もなんかとっちらかってたぞ。あとで改善点をまとめたメール送るから、その月子さん?に言っとけ。」
「さんきゅ。当面の生活費100万円でいい?後、仕事の報酬は別で払うよ。まあ30万円と思ってくれ。来週、月子に直接会ってアドバイスして欲しい」
100万円。思ったより多いが有難く受け取ろう。ホストって儲かるんだな。
現金を受け取り、来週にまた会う約束をして別れる。
そういえば…過去の大殺界はいつも朝陽が助けてくれた。
朝陽のおかげで不運な出来事がいい結果に繋がった気がする。
無利子ではなく色つけて返すか…。
↓寺島かなた様から頂いた朝陽のイメージです↓かなた様有難うございます〜
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