1. 七転び八起き

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 日曜の昼、約束時間より早めにダヴィンチに到着する。  ダヴィンチは大学時代に朝陽と頻繁に通っていた喫茶店だ。  マスターがレオナルド・ダヴィンチを崇拝しており、店には彼が模写した絵がたくさん飾ってある。  絵はよく分からないが、マスターの熱意が伝わってくる作品だ。  昼時なので「男ウケ抜群オムライス」を頼もう。  マスターと雑談をしていると朝陽が現れる。 「おい、いつもの折りたたまない傘はどうした?」  2年前に会った時、朝陽はいかにもホストなチャラい格好をしていた。  雨と喧嘩に使えそうなイカついセカンドバックがトレードマークだったのに…。 「折りたたまない傘?何のことだよ。いきなり下ネタか?」 「服装だよ。昼仕様なのか?」  今日の朝陽はグレーの細身のスラックスにブルーのジャケットを着ている。  コンサル業界にいそうなビジネスカジュアルだ。まさか俺への当てつけ? 「ああ、最近は綺麗目カジュアルにしてる。店変わって客層が違うんだ」 「え、じゃあ源氏名は『ブッとべ!ケモ耳の森』じゃないの?」 「お前…相変わらず人の黒歴史好きだな。性格悪いぞ。あれはイベント用につけた臨時名だ。」 「仕事がクソ忙しい時は、どこかでケモ耳も頑張っていると思って乗り越えてきたのに…」 「まあいい。あれ登録した?」 「おう。今日17時から会うぞ」 「さすがプロ。仕事が早くて助かる。サイトどうだった?」 「サイトデザインは悪くないが、好みの女性についての質問は今すぐ変えた方がいい。例えば、清純派とギャルの2択じゃなく、複数選択制にするんだ。用意できる女の子のバラエティが多いって思わせるんだよ」 「なるほど。月子(つきこ)は友達のWebデザイナーに頼んだって言ってた。デザインはいいけど中身がないのか。伝えとく。」 「おう。質問自体もなんかとっちらかってたぞ。あとで改善点をまとめたメール送るから、その月子さん?に言っとけ。」 「さんきゅ。当面の生活費100万円でいい?後、仕事の報酬は別で払うよ。まあ30万円と思ってくれ。来週、月子に直接会ってアドバイスして欲しい」  100万円。思ったより多いが有難く受け取ろう。ホストって儲かるんだな。  現金を受け取り、来週にまた会う約束をして別れる。  そういえば…過去の大殺界はいつも朝陽が助けてくれた。  朝陽のおかげで不運な出来事がいい結果に繋がった気がする。  無利子ではなく色つけて返すか…。 ↓寺島かなた様から頂いた朝陽のイメージです↓a156b8a2-e7b8-4514-871f-c40867baa6e3かなた様有難うございます〜
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