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「朝陽、たまに戻ってきますか?」
「最近はめっきり…。でも朝陽に紹介されたお客さんは、いっぱい来てくれるわ」
…ここは新宿歌舞伎町から遠いようで近い。宣伝番長、頑張ってるじゃん。
「この頃、機会があってあいつとよくつるむんです。元気そうですよ」
「よかった。そういえば…あの子とどうなったのかしら。1年前は結婚するって言ってた子がいたんだけど…」
はぁ…?朝陽が結婚…?冗談だろ…。
あまりの違和感に、スパークリングワインの泡が喉に刺さる気分だ。
「朝陽にいい子がいるなんて、知りませんでした。いいネタ有難うございます。今度聞いてみます」
「あら、そうなの?うまくいってないのかしら…。ここにも連れてきたのに…」
おいおい、親に紹介するなんて、よっぽどだな。
「冬一郎くんは覚えているかな…。朝陽が昔好きだった子に似ていたの。ちょっとぽっちゃりした、マキちゃん…。もちろん本人ではなかったけど」
俺が黙っていると、渚さんは情報を付け加えた。
中2で恋したマキちゃん似か…。
朝陽ってどちらかといえばB専なんだよな。
高校時代も周りの女性が納得するような子を選ばないから、トラブルが起こっていた気がする。
いずれにしても1年前か…。今度聞いてみよう。
渚さんが、邪魔して悪かったわね…と厨房に戻っていく。
「冬一郎、あの人って前、歌舞伎町で助けてくれたホストさんのオネーさん?」
「よくわかったな。そういえばナッキュも一緒だったもんな。やっぱ似てる?」
「う…うん」
ナッキュは少し大人しくなった…。歩き回ったから疲れたのかな?
食事を終え、店を後にする。
日が暮れたので、今なら長いキスできるぞ…。と浜辺を手をつないで散歩する。
「冬一郎…、この後どうする?」
「ん…」
どうしよう…。帰る…?泊まる…?
「ナッキュ、ちょっと抱き締めさせて」
「えっ」戸惑うナッキュを腕の中に引き寄せる。
「今日、すごい楽しかった。付き合ってくれて有難う」
「う、うちも楽しかったし」
「車拾って、戻ろうか。藤沢駅からロマンスカー乗ろうよ」
ナッキュは声を出さずに頷いた。
ポジティブシンキング過ぎるかもだが、ナッキュは俺と寝たいと思ってたかも…。
朝陽の影響か、キス以上はもう少し時間をかけたい。
そのくらい今日のデートは充実していた。
渋谷駅でナッキュと別れ、デートの余韻に浸りながら東急東横線に乗り換え口に歩いていると電話がなった。
月子さんからだ…。
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