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16. 裏 - 月子オーナー
「もしもし、柳さん?お休み中にゴメンなさい」
土曜の夜…人が多い渋谷駅でも、月子さんの声はよく聞こえる。
「大丈夫ですよ。どうしました?」
「遅くなって申し訳ないけど、先日頂いたサブスク彼女の報告書、今読んでいるの…。ちょっと気になった点があって。今、質問しても大丈夫?」
「はい。もちろんです」
「3回目の渋谷でしたデート…相手は夏姫って書いているけど、間違いじゃない?」
「えっ。夏の姫でナツキって言ってましたけど…」
さっきまでデートしていた、ナッキュの話を聞かれ…ヒヤッとする。
「うちの登録で、夏姫って子はいないのよ」
ん…?
確かにナッキュは「夏姫は源氏名」みたいな事、言ってたけど…。
本人が覚え間違いしていたとか?
「会った時に名前は夏姫だけど、なつぽよって呼んでくださいって言われたんですが…」
「へぇ。そもそも『なつ』で始まる名前の子はいないはずなんだけど。まあ、人手がなくてマルちゃんが独自で手配したのかも。ちょっと確認してみるわ。有難う」
月子さんはそう言って電話を切った。
独自で手配…。
確かにマルちゃんとナッキュは個別に繋がっているっぽかったよな。
サブスク彼女のメールサービスのプログラミングはナッキュに頼む…みたいな事言ってたし。
正直、仕事とはいえ…ナッキュが他の男とデートするのは、快く思ってなかったので、突発で対応したなら良かったかも。
マルちゃん、怒られないといいけどな…。
そういえば、試作のメールについて、まだ連絡きていないけど大丈夫かな。
心配になりマルちゃんにメールする。
自由が丘の新居に着く頃、マルちゃんから返信が来た。
「他の仕事があり、対応が遅くなっている。」と事務的なリプライ…。
困った事があれば、いつでもと送ったがその後の返信はなかった。
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