16. 裏 - 月子オーナー

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「会ったことありません…」  眉間を擦りながら答える。 「そうか…。きっと俺以外にも被害者はいるよ。まだ六本木で働いているはず…」 「わかりました。この写真…頂いてもいいですか」  黒田さんは写真を送ってくれた。  画像を拡大して確認する。  写真はキャバクラのような場所で撮られている。  間違いない…ちゃんだ。  また意外な場所で会ったな。 「この娘の名前は?」 「夏姫(なつき)ちゃん。。店での名前だから…本名かどうかは、わからないけど」  夏の姫…。ナッキュが使った源氏名と一緒だ。  ……そもそも『なつ』で始まる名前の子はいないはずなんだけど……    月子さんの言葉を思い出す。  小春ちゃんがキャバ嬢の夏姫…、これは偶然か? 「黒田さんは会いに行かないんですか?」 「会いたくても会えない。お店は出禁になっちゃったし。プライベートもボディーガードみたいな怖い兄さんがいるんだ」  歌舞伎町で小春ちゃんにばったり会った時、強面のホストと一緒にいた。  あれはボディーガードだったのか?  黒田さんと別れた後、買い物をする気は失せた。  なんだか胸騒ぎがする。すぐに行動をしなくてはいけない…。  マルちゃんに「今からオフィスに行って良いですか?」とメールする。  返信を待たずに俺は六本木ヒルズに向かう。
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