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「会ったことありません…」
眉間を擦りながら答える。
「そうか…。きっと俺以外にも被害者はいるよ。まだ六本木で働いているはず…」
「わかりました。この写真…頂いてもいいですか」
黒田さんは写真を送ってくれた。
画像を拡大して確認する。
写真はキャバクラのような場所で撮られている。
間違いない…小春ちゃんだ。
また意外な場所で会ったな。
「この娘の名前は?」
「夏姫ちゃん。夏の姫。店での名前だから…本名かどうかは、わからないけど」
夏の姫…。ナッキュが使った源氏名と一緒だ。
……そもそも『なつ』で始まる名前の子はいないはずなんだけど……
月子さんの言葉を思い出す。
小春ちゃんがキャバ嬢の夏姫…、これは偶然か?
「黒田さんは会いに行かないんですか?」
「会いたくても会えない。お店は出禁になっちゃったし。プライベートもボディーガードみたいな怖い兄さんがいるんだ」
歌舞伎町で小春ちゃんにばったり会った時、強面のホストと一緒にいた。
あれはボディーガードだったのか?
黒田さんと別れた後、買い物をする気は失せた。
なんだか胸騒ぎがする。すぐに行動をしなくてはいけない…。
マルちゃんに「今からオフィスに行って良いですか?」とメールする。
返信を待たずに俺は六本木ヒルズに向かう。
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