17. 夏姫 @ KAGUYA

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 朝陽は両サイドのキャストを既にトリコにしている。  軽い催眠術をかけたのだろうか…。キャストの2人は目がトロンとして、ドレスの肩紐が落ちそうだ。  もう少しでするかも(過激語解禁)…!  月子さんと話しているキャストは、Crescent Moon(三日月-ミカヅキ)のエステを予約している。キャバクラで新規顧客ゲット…。やっている事が朝陽と変わらない。  柿本はチェリーなのがバレて、キャストの子2人にズボンを脱がされそうになっている。おいおい、柿本のポロリは見たくないぞ。 「わあ、盛り上がってますね!」小春ちゃんは嬉しそうに俺の隣に座る。  そして、さり気なく俺の太ももを触る。くそっ。これは黒田さんもどハマりする! 「柳さんとのお話は終わった?」月子さんは優しく小春ちゃんに声をかける。 「はい。月子さん、キャバクラで働いてゴメンなさい。私、会社を一度辞めて留学したいんです。資金が必要で…」小春ちゃんは申し訳なさそうに、兼業について謝罪する。 「留学はいいわよ!語学だけじゃなく、世界が広がるわ!頑張ってね!」  月子さんは、笑顔で応援する。 「有難うございます!今のままじゃ、事務だけで仕事が終わってしまいます。語学力を身につけたくて…。私、月子さんに憧れているんです」  小春ちゃんは、月子さんの励ましが嬉しかったらしく、目を潤ませて言う。 「小春ちゃんは、人を惹きつける天性の力があるから、焦らなくていいわよ。また、仕事だけが人生じゃないわ。素敵な男性見つけるのも大切よ」  月子さん…ホストにハマっているのに、結婚肯定派なんだな。 「キャリアを頑張るのはとってもいい事。でもコンサルなどの営業職は女性がトップになるのは気苦労も多い。私も一度、企業で研究者として就職したけど…、辞めてビューティー系を極めてよかったと思っている」  月子さんは、小春ちゃんと隣のキャストの子に生き生きと話す。  確かに、企業はそれなりのストレス耐性が求められる…。化学専門で女性の力を生かすビューティー系ビジネスは月子さんにとって天職かも。  延長するかボーイに聞かれたが、柿本が限界そうなので帰る事にした。  帰り際、小春ちゃんは初めて連絡先を渡してくれた。 「キャバクラはもう直ぐ辞める予定です。もしよかったらお茶でもしましょう」  こそっと俺の耳元で囁く小春ちゃん…。まあ、お茶くらいなら…。留学のアドバイスもできるかもしれないし。    
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