18. なつぽよ & マルちゃん

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 六本木ヒルズのオフィス用のエレベーターの近くは、取材の記者が数名いた。  全く、ご苦労なこった…。企業の社員はそんな簡単に口を割らないだろう。  19階に行くと、ナッキュがエレベーターまで迎えに来てくれた。  そういえば、ナッキュに会うのは江ノ島デート以来だ…。  メールもマルちゃんと試作メールのやり取りばかりやっていたので、ナッキュにはあまり連絡していなかった。  たった数日なのに、すごく久しぶりに感じる。 「ね、冬一郎、チューしよ」  ナッキュは会えたのが嬉しいようで、エレベーター中に乗り込んでくる。 「え?おい!」  エレベーターに俺しか乗ってなかったのを利用して、階を指定せずドアを閉じる。  2人きりになると、ナッキュは俺に抱きつきディープなキスをする。 「会えなくて寂しかったの?」聞くと、プイッと顔をそらした。  今日のナッキュは、大学であったリケ女みたいな格好だ。  無言でマルちゃんのオフィスに導かれる。  なんだよ、さっきのラブシーンは?ドキドキしちゃったじゃん。  オフィスの入るとマルちゃんは嬉しそうな顔をしている。  メールシステムが順調にいっているからな。 「柳さん、レスポンス早くて助かってます。細かいフィードバックもくださって。そろそろメールサービスは実行できそうです」  マルちゃんは感謝しながら言う。 「ところでナッキュに俺が手伝っているの、ばれて大丈夫なのかな?」とマルちゃんに聞いてみる。 「はい。私たちの間では大丈夫ですが、柳さんがなつぽよと渋谷でサブスクデートしたのは秘密にしてくだい。多分、月子さんはよく思わないので」 「なるほど、ナッキュをサブスク彼女にさせたくないんだな」 「そうです。実の妹だから心配なんでしょう」 「うちと月子、あんまり仲良くないの。びっくりしないでね!」  ナッキュは実姉を月子と呼び捨てする…。姉妹では普通のことなのか? 「それでは柳さんの調査始めましょうか。私も協力します!」  マルちゃんが手伝ってくれるんなら、心強い!
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