390人が本棚に入れています
本棚に追加
/154ページ
六本木ヒルズのオフィス用のエレベーターの近くは、取材の記者が数名いた。
全く、ご苦労なこった…。企業の社員はそんな簡単に口を割らないだろう。
19階に行くと、ナッキュがエレベーターまで迎えに来てくれた。
そういえば、ナッキュに会うのは江ノ島デート以来だ…。
メールもマルちゃんと試作メールのやり取りばかりやっていたので、ナッキュにはあまり連絡していなかった。
たった数日なのに、すごく久しぶりに感じる。
「ね、冬一郎、チューしよ」
ナッキュは会えたのが嬉しいようで、エレベーター中に乗り込んでくる。
「え?おい!」
エレベーターに俺しか乗ってなかったのを利用して、階を指定せずドアを閉じる。
2人きりになると、ナッキュは俺に抱きつきディープなキスをする。
「会えなくて寂しかったの?」聞くと、プイッと顔をそらした。
今日のナッキュは、大学であったリケ女みたいな格好だ。
無言でマルちゃんのオフィスに導かれる。
なんだよ、さっきのラブシーンは?ドキドキしちゃったじゃん。
オフィスの入るとマルちゃんは嬉しそうな顔をしている。
メールシステムが順調にいっているからな。
「柳さん、レスポンス早くて助かってます。細かいフィードバックもくださって。そろそろメールサービスは実行できそうです」
マルちゃんは感謝しながら言う。
「ところでナッキュに俺が手伝っているの、ばれて大丈夫なのかな?」とマルちゃんに聞いてみる。
「はい。私たちの間では大丈夫ですが、柳さんがなつぽよと渋谷でサブスクデートしたのは秘密にしてくだい。多分、月子さんはよく思わないので」
「なるほど、ナッキュをサブスク彼女にさせたくないんだな」
「そうです。実の妹だから心配なんでしょう」
「うちと月子、あんまり仲良くないの。びっくりしないでね!」
ナッキュは実姉を月子と呼び捨てする…。姉妹では普通のことなのか?
「それでは柳さんの調査始めましょうか。私も協力します!」
マルちゃんが手伝ってくれるんなら、心強い!
最初のコメントを投稿しよう!