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19. 警視庁訪問
週末の土曜日、大学時代の友達は、快く相談に乗ってくれる事になった。
岩崎光、俺と同じT工大卒だけど、警視庁に入るため脳学と心理学を研究しに大学院に進学したイレギュラーなやつだ。
インテリっていうより、体育系の性格で縦社会であろう警察はあっているかも…。
マルちゃんの飴の簡易検査も同時にやるので、警視庁にナッキュと一緒に訪問する。
警視庁の最寄の桜田門駅前でナッキュを待つ。
今日はギャル?リケジョ?その中間?どんな格好で来るんだろう。
多分、普通の格好で来るんだろうな。ああ見えて意外に常識人だし…。
しかし、期待を見事に裏切り、ナッキュはゴリゴリのギャルメイクで現れた。
「おは!」ナッキュは元気よく挨拶する…。
「おはよう。がっつりギャル仕様だな。ギャルサーの元締めとして出頭するのか?」
「えへ。ギャルの方が冬一郎の友達が喜ぶかなって」
「まあ、どんな格好でも可愛いよ。行こう」とナッキュの手を取る。
受付で「岩崎さんに面談の約束がある」というと若干驚いた感じだった。多分ナッキュのせいだろう。
会議室に通され、ナッキュは落ち着かず観察する。
「冬一郎の友達って何課?今更だけど…」
「そういや、言ってなかったな。警視庁捜査一課。しかも警部だぞ」
「ま?スゲーじゃん!超エリートじゃね?」
「ああ。でも年収は俺より低いぞ。ってクビになる前のな」
「冬一郎、ウケる。緊張してきた。ヤバたん。ヤバたん」
「ナッキュ、ギャル語控えろよ。できるだろ?」
「この格好で普通にしゃべったら、ギャップ萌えされるよ」
「構わん。友達はギャル語はおそらく通じないからな。その代わりなんでも聞けよ。マジでいい奴だから」
ドアが開き、岩崎が入ってきた。
「柳、久々だな?警察に相談なんて…。裏ビジネスでも始めんのか?」
岩崎は開口一番に冗談を言ったが、ナッキュを見て明らかに動揺している。
「おおお。お若い友達だな…。ようこそ警視庁へ。捜査一課警部の岩崎です」
とりあえず挨拶をして、名刺をナッキュに渡しお互い席に座る。
「忙しい中悪いな。この子は…」と紹介しようとしたが、ナッキュのフルネームを知らないのに今更気づいた。
「鮎川夏姫です」とナッキュはハキハキと答える。
「初めまして…。柳とは…?」
「一応、彼女です。まだ寝てないけど…」
「あほっ。まあ、こんな感じで、冗談きついけど、優秀な学生なんだ。K大の情報工学に通っている。将来、警察を目指して留学を検討中だ」
さすがに驚いている岩崎に、慌ててフォローする。
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