光 (Jの物語:番外編その9)-完-

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  「人は人を否定してはいけない。自分を含めて、命を否定してはいけない。互いに命を持つ世界に一つだけのものなんだ。僕はやっとそれが分かったよ」  たくさんの時間を経て、思いを巡らし、考えて、二人はやっと息子のそばに戻った。現実離れしながらも親としての努力を始めるために。  3年近く経って会った息子は、幼さは消えかけて眩しいくらいの生を秘めていた。なんと美しく育ったことか……  許されず、受け入れられず、それでも花を求めた。自分たちが元々手にしていた美しく光り輝いていた宝物を。  両親を拒み、その権利を持つ花は、少しずつ二人を受け入れてくれた。それは何にも代えられない喜びを二人にくれた。花がかけてくれる声は夢にはメロディそのものだった。自分を見る花の瞳は絵で再現するのが難しいほどの光を放ち、その笑顔は生きる喜びを超愛にもたらしてくれた。  やがて、成長し、大きな障壁を超えた花は超愛の語る言葉を真剣に聞いてくれるようになった。人生を振り返り、振り返り、花の問いに自分の思うことを話していく。 「父さん、同性愛 って……どう思う?」 「人と人が愛し合うのに何か問題があるかい?」 「それって、認めるってこと?」 「認めるとか認めないとか。そういう問題なのかな、花には」 「でも受け入れられないよ! 男同士だよ!?」  花は怒っているんじゃない。きっと戸惑っているのだと思った。とても大切な友人がそうだから受け入れられずに苦しんでいる。 「囚われてはいけないよ。男とか女とか、そういうことに。人と人だ。大事なのはそこであって他は些末なことだよ」  花の反応で心が見えてくる。本当は受け入れたいのだと。だが自分一人では前に進めずにいる。 (花の背中を押してやりたい) 超愛は自分では気づかぬまま、父親の顔になっていた。 「花、考えて。日本では確かにそういう人たちを受け入れることが難しい。それは国民性だよね? じゃ、人を国民性で区切るのかい? 海を渡るだけで人の繋がり方が変わると思っている? その彼は、苦しんでないと思うかい? 君の言う、" 人に認められない "ということで。それでも生きていくというのは、この国ではとても勇気の要ることだ。君みたいな人がほとんどだからね。マイボーイ。僕は君に、その彼を" 人 "として見てほしい。そういう人間になってほしい」  
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