99人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなことないですよ。こちらこそ、急に行ってしまって、ご迷惑じゃなかったかと気になってしまって」
急に行っただと?
「とんでもないです。おかげで楽しかったですから」
ミアが笑顔で答えるので、ふうんと、ちょっとつまらなくなる。
足元でヒロトは、「ワンワンワワワワーン」と、オリジナル犬のおまわりさんを歌っていた。舌足らずな小声で。
犬に触りたいのに触れないようで、俺の足元に絡みついたままニコリと微笑みかけるだけ。
それを察したみたいに、リョウスケくんのお父さんは、しゃがんでおいでおいでをした。
「ワ」と、歌うのをやめて、しゃがむ。恐る恐る手を伸ばして、毛に触れるくらい軽く撫でた。
急にオンっと鳴くものだから、ピタリと止まってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!