ヒロム、またもや嫉妬

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「そんなことないですよ。こちらこそ、急に行ってしまって、ご迷惑じゃなかったかと気になってしまって」 急に行っただと? 「とんでもないです。おかげで楽しかったですから」 ミアが笑顔で答えるので、ふうんと、ちょっとつまらなくなる。 足元でヒロトは、「ワンワンワワワワーン」と、オリジナル犬のおまわりさんを歌っていた。舌足らずな小声で。 犬に触りたいのに触れないようで、俺の足元に絡みついたままニコリと微笑みかけるだけ。 それを察したみたいに、リョウスケくんのお父さんは、しゃがんでおいでおいでをした。 「ワ」と、歌うのをやめて、しゃがむ。恐る恐る手を伸ばして、毛に触れるくらい軽く撫でた。 急にオンっと鳴くものだから、ピタリと止まってしまった。
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