ヒロム、またもや嫉妬

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「いないって言ったっけ?」 「家に犬見に行った日、確かいないって話しただろ。なんでいるんだ?」 「ああ。いないって言ったのは、しばらく里帰りしてて留守にしてたってことだよ。実家で色々あったみたいだけど、この前、ようやく落ち着いて帰ってこれたって食事会に来てくれたんだよね」 「えっ? いないって、そういう意味だったのかよ?」 「うん。どうしたの? 驚いて?」 「俺、てっきり、シングルファザーかと思ってた」 「あれ? その話、しなかったけ?」と、口を開けて笑った。聞いてないよ。 「じゃあ。この前、迎えに来たっていうのは」 「リョウスケくんのお母さんが、旦那さん送ってくれるって言うから一緒に行かないかって誘ってくれただけだよ」 「へえ」と、急に肩の力が抜けた。 「どうしたの、ヒロム、変な顔」と、さらに笑われてしまった。
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