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黒。
『私』がこの世界で最初に見た情景。
地獄。
『私』が推測したのは『黒』の正体。
否。
『私』が抱いたのは『地獄』ではないとする確信。
『地』がない。
『空』がない。
『光』がない。
『闇』がない。
教義に聞いた『地獄』ではない。
『これ』が地獄ならば『私』が死したその時
「そうだ。」
『私』は死んだ。
『死』んだのだ。
『炎』に焼かれ。
『身体』の芯まで焼き焦がされ。
『私』は。
『私』は。
「ようこそ」
『私』が『私』と異なる『声』を認識したその刹那。
『私』は千切られた。
「あ」
乱雑に。
暴虐に。
首から上をブチブチと。
それを合図と言わんばかりに、場を形成していた『黒』が『私』を襲いかかる。
千切られた『私』は更に分断され、『複数』となった『黒』に貪られていく。
咀嚼され。
吸収され。
陵辱され。
模倣され。
分析され。
観察され。
傍観され。
『黒』に溶けていた『ナニカ』は『私』をそれぞれの方法で『理解』し、形を形成していった。
「待っていました。ずっと。ずっと。」
今、思えば。
『私』はあの時『神』となり。
『私』は世界の創生を成し遂げたのだろう。
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