2人が本棚に入れています
本棚に追加
DIE1話 血の滴る違異漢
「急行せよ。急行せよ。」
現場への到着を急かすは時代遅れのトランシーバー。
夜の遊園地。
遊戯施設に似つかわないスーツを纏った少女は駆けていた。
「急行せよ。鬼人。人血を求め。北上中。繰り返す。鬼人。北上中。直ちに対処せよ。」
色鮮やかに点滅するアトラクション。
それらを横目に『標的』へ向け駆ける。
血鮮やかに横たう人々。
それらを尻目に『標的』を追い駆ける。
「……いた。」
見つけた。
のそりのそりと此方に背を向け歩く男。
ぽたりぽたりと口から血を垂れ歩く男。
「こちらリベナ。鬼人を発見。」
頭を除く体表は黒ずんだ毛皮に覆われ、腕からは『人』には無い筈の器官である翼膜を覗かせている。
黒き異形は鼻をひくひくと震わせる。
暗き陽の中くるりと振り返り駆け付けた少女を見る。
口から滴る赤は透明な汁に流される。
蝙蝠は牙をひん剥きにたりと笑った。
「こちらリベナ。鬼人の浄化を開始する。」
最初のコメントを投稿しよう!