DIE1話 血の滴る違異漢

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DIE1話 血の滴る違異漢

「急行せよ。急行せよ。」  現場への到着を急かすは時代遅れのトランシーバー。  夜の遊園地。  遊戯施設に似つかわないスーツを纏った少女は駆けていた。 「急行せよ。鬼人。人血を求め。北上中。繰り返す。鬼人。北上中。直ちに対処せよ。」  色鮮やかに点滅するアトラクション。  それらを横目に『標的』へ向け駆ける。  血鮮やかに横たう人々。  それらを尻目に『標的』を追い駆ける。 「……いた。」  見つけた。  のそりのそりと此方に背を向け歩く男。  ぽたりぽたりと口から血を垂れ歩く男。 「こちらリベナ。鬼人を発見。」  頭を除く体表は黒ずんだ毛皮に覆われ、腕からは『人』には無い筈の器官である翼膜を覗かせている。  黒き異形は鼻をひくひくと震わせる。  暗き陽の中くるりと振り返り駆け付けた少女を見る。  口から滴る赤は透明な汁に流される。  蝙蝠は牙をひん剥きにたりと笑った。 「こちらリベナ。鬼人の浄化を開始する。」
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