DIE1話 血の滴る違異漢

2/7
前へ
/8ページ
次へ
「あ。」  一歩。  死体がそこら中に散らばる中歩む。 「血。」  二歩。  眼前に未だ膨れた血袋がある事に光悦する。 「血血?」  三歩。  これから堪能する美味を想い興奮する。 「血血血!」  四歩。  発狂する。 「血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血イイィアアァッッ!!!!」  五歩。六歩。七歩。八歩。九歩。  欲する。 「はぁ。」  飛びかかり、襲い来る昏き翼を前に。  ただ一息ため息をつく。  その手には『悪魔』を模した30センチ程の人形のようなモノが抱えられていた。 「面倒くさい。」  怪訝な顔で。  心底からの悪態で。  彼女は『悪魔』の首を握り締める。 「ぷぎゅ」  『悪魔』は気管を絞められ、目が充血し、顔が歪む。  さながら生きているかのように。  さながら息出来ぬかのように。  そして 「ぴぃぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」  叫んだ。  顎が外れんばかりに口を開き。  眼球が飛び出んばかりに見開き。  その役割を果たさんとするように。  その生命を叫ぶ事に費やすように。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加