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「ハッ!」
嘲笑。
「『神様』?『獣』ごときが随分と素敵なモノに騙るんだね。」
鰐がコウモリ男と語っているのを傍目に、リベナは皮肉気に問う。
「相変わらず不遜な娘。」
地面に胡座をかいて座っている少女に、セベクは目を向けない。
リベナの傍には柄の黒い日本刀が、鞘にも納められずに無造作に置かれている。
「とっとと聞いたらどうなの?」
問う。
少女は鰐に。
鰐はヒトのようにため息を吐く。
「き、聞くって何を……?」
男は状況が読み込めず、彼女の言葉を反芻する。
そして刹那。
リベナの傍に在る刀。
その刃の違和感に気付いた。
「そんなの、決まっているじゃない。」
気付いてしまった。
気付かなければよかったのに。
「『鬼』を手放すか、否か。」
血に濡れていた。
銀に輝く刃が。
朱に染まった己の身体が。
「私に殺されるか、否か。」
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