コード1 うさぎの穴

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コード1 うさぎの穴

初登校の朝。 高校一年生のお決まりの自己紹介が始まった。 ドキドキした。 ずっと酷いイジメにあって来た。あだ名はガマガエルの「ガマ」ちっとも似てないのに。 そんな過去とはさよならしたいのよ。 うつむいて自分の番を待つ。 名前を言って……出身中学、趣味、それから、えーっと入りたいクラブとか部活とか。 将来の夢や成りたい職業とか? 机は窓際の前から二番目だった。 他の人たちの紹介なんかどうでもいい。 もうすぐだ。いやだ。脂汗酷い。これもガマの油とかからかわれて来た。 来た!前の人まで来た。 ふうん。 前の男子は結構な進学校出身で趣味はサーフィンと料理とわごん。「わごん」てあの和琴?珍し。私もやってる。 医学部目指して猛勉強は高2から始めるそう。 この一年間は思いっきり遊びたいって。 後ろからだと良く分からないけど可成りカッコよくない? 声のトーンも低くて美声だよね。 あちゃあ。思いっきり飛び上がったものだから椅子ひっくり返った。 ああ。もうダメ。恥ずかしい。 先生に早くしなさいと催促されるほど何も言えずに立ち尽くすだけ。 「あの。あの。私の名前は天使ヶ原姫香です。 御姫様の「姫」に香るの「香」です。 家来達には、姫と呼ばれています。出身中学は青羽市立中です。 引っ越して来ました。最近。 でも元々ここらへんの土地は市町村ごと曽祖父の代からのものでした。 つまり地元。 趣味は華道とお茶と天体観測。 あと音楽。歌うのが好きです。 将来は歌手になりたいです。 ダンスもできるアイドル系。 それから、それからここの制服可愛いですね。セーラーカラー憧れてました」 「ガマじゃん!」 え?? 振り向くと窓際一番後ろに、天使ヶ原加奈子がニコニコ立ち上がっていた。 同じ中学で二年間同じクラスだった。 何でここにいるわけ?! 私をイジメ抜いてきた主犯格が。 ぼーぜん。 相変わらずの意地悪そうな目が獲物を見つけて輝いている。 嘘!!
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