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コード5 ザッハトルテとカフェモカ
サイレンが鳴り響いた。
なだれ込んできた大人たちに数分もせず三人は捕縛され床に転がった。
傍観者達もドアをふさがれて逃れられない。
後ろ手を縛られて床に転がった加奈子のヒステリックな声が響く「これ解いてよ!あんたたち警察じゃないよね!なんなのよ」
ブラックスーツの男四人はそれぞれ風貌は違うものの尋常でない存在感とオーラを放っていた。
ひとりだけ白衣を纏っていたのは医師だ。
サングラスのブロンド女は殺し屋以外に見当がつかない。
銀縁眼鏡が「虐めは立派な暴行罪です。人権侵害でもあります故反論の自信がおありでしたら裁判致しましょう。
ちなみにその裁判の陪審員は八割が虐めが原因の自殺でご子息ご令嬢を無くされた親御さん達で占めております。
裁判であなたの人生設計は大きく狂うことになりましょう。
でも一生に一度位はご経験を積んでみるのも悪くないでしょう」
「じょ、冗談でしょうおお」ヒステリックなマリーアンとアネット。
マッチョ男と長髪優男が床の三人の縄を解いでやった。
加奈子たちは、スッと差し出された名刺を反射的に受け取った。
ーーー鷹藤弁護士事務所 代表:鷹藤龍之介
三人とも現実の冷たい風を実感したようだ。
加奈子の顔が、ドアップに迫ってきた。
「ね?許して。許してくれるよね?本気じゃなかったし。ごめん。警察沙汰になったらお互い困るよね?ね?地元の『月面新聞社』あれパパのお兄さんがやってるの。だから何でも書くよ、面倒でしょ?」
白衣に介抱されている私に加奈子のド・アップが迫って来て片目をつぶってみせた。
こいつこんなに馬鹿だったかな。
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