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肩を落としてる俺に反して、レヴィアタンの方はご機嫌だ。そりゃそうだろうな。お前は俺を一人占め(一匹占め? 一頭占め?)できれば満足だろうな。
「……俺のゲーム……。高かったのに……。最新ソフトだったのに……。ずっと発売待ってたのに……」
『それは残念だったな。可哀相に。だが可哀相なお前も愛しいから安心しろ』
「そういう話はしてない」
『そうなのか?』
きょとんとしているレヴィアタンのほっぺたのあたりを、ぺちんと叩いた。どうせ痛くも痒くもないんだろうけど、ちょっとでも俺の気が済むんだったら良いんだ。
『ははははは、良太は非力だなぁ。だがそういうところも愛らしいぞ』
「お前ってナチュラルに俺のこと馬鹿にするよな」
『馬鹿になどしていないさ。本当のことを言っただけじゃないか。人間はひ弱だ』
「じゃあ同じレヴィアタンと恋愛すれば?」
『何を言う。私はお前が良い』
「お前が良くても俺が良くない」
俺がそう言った途端、レヴィアタンは秒でその顔を怒り一色に染めた。と言っても多分レヴィアタンの表情の変化を判るのは俺だけだと思うけど。
『なんだと!? 他に好きな相手でもいるというのか!?』
そう叫ぶや否や、レヴィアタンは怒り狂って水を吐き出そうとした。
ああ! やめろ! 家が水浸しになったらまた大家さんに怒られる!
「ストップストップストップ!! 他に好きな奴なんていないから!!」
慌ててそう言って止めたら、今にも水を吐き出しそうだった口を閉じたレヴィアタンが、怒りの表情を沈めてこっちに寄って来た。
そのまま、懐くように俺の方に顔を擦りつけてくる。
魚っぽいレヴィアタンだけど、魚臭い臭いはしないのでそこはありがたい。
毎度毎度服が魚臭くなってたら大変だもんな。
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