レヴィアタンと俺

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『そうかそうか、お前はやはり私のことを愛しているのか』 「いやまあそうは言ってないんだけどな」 『ははははは、照れずとも良いとも。お前はやはり愛らしい子だな』 「うんまあお前が納得したならそれで良いけどさ……」  やたらと嬉しそうに笑うレヴィアタンに、やれやれとため息をつく。でもまあ、部屋が水浸しにならなかったから良いか……。  ゲームは多分完全に壊れてしまっただろうけど、もうそれもこいつに好かれてからは日常茶飯事みたいなものなので、諦めている。高かったんだけどな……このゲーム……。  でもレヴィアタンにお金のことを言ったって理解してくれないだろうし、それどころか俺があんまりお金に執着してるとお金にまで嫉妬してくる始末だし、やっぱりこいつという悪魔に好かれてしまった自分の運のなさを呪うくらいしかやることがないんだ……。  いつの間にやら身体に巻き付いてきてるレヴィアタンの鱗をてきとうに撫でつつ、俺はそんなことを考えた。  小学一年生の頃に海でたまたま出会ったこの悪魔様は、なんでか知らないけど俺のことを好きだと言って、陸に上がってきた。  俺としては好かれた理由が知りたいから訊いてみたりはしたけど、なんか魂に惹かれたとかなんとかしか言わないので、結局理由は判らずじまいた。  魂ってことは肉体はいらないって話にもなる可能性があるわけで、そうだとしたら俺いつかこいつに食われるんじゃないのか? と思って早十数年。今のところ俺は生きている。まあそれもこの悪魔様の気まぐれかもしれないけどな。
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