レヴィアタンと俺

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「怖いこと言うのやめろ! そういう話には興味ないし聞かないから!」 『そうか? それなら構わないが』  幸いなことに、悪魔様は俺の心をどうこうすることにそこまで興味がなかったようで、あっさりと引き下がってくれた。 『しかし、頭を叩くのは頂けないなぁ。そうではなく、もっとキスをするだとかキスをするだとかキスをするだとか色々あるだろうに』 「色欲の悪魔みたいなこと言ってんなお前」 『アスモデウスの話をするとは! まさかお前、アスモデウスが好きだと言うのか!?』 「言ってねええええええええええ!!」  突然また水を吐き出しそうになったレヴィアタンの口に両手を伸ばし、閉じさせようと力を籠める。  なんだかんだ俺に甘い恋人(恋魚? 恋悪魔?)様は、俺の意図を汲み取って口を閉じてくれた。俺の力じゃ、こいつの口を無理矢理閉じさせるなんてことはできないからね。  そこで俺は、さっきのレヴィアタンの台詞を思い出した。  …………そういうのは柄じゃないんだけど、まあ、たまには良いか。  レヴィアタンの頭の近くにあるヒレを掴んで、ぐいっと引っ張る。そしてその場の勢いに任せて、鼻先にキスをしてやった。  なにせこっちからしたらめちゃくちゃ気恥ずかしいので、何か言われる前にとすぐに離れたけど、そのとき目に入ってしまったレヴィアタンの表情ときたら! 『……やはり、私の恋人は本当に愛らしい』  めちゃくちゃうっとりした顔でそんなことを言うものだから、俺の顔まで熱くなってくる。  それをごまかすためにそっぽを向いた俺のほっぺたに、レヴィアタンの鼻先が押し付けられた。 『ああ、可愛い可愛い私の良太。お前が私以外に興味を示せば、私は怒りで後も先も考えられなくなってしまう。どうか私の心が穏やかであるよう、お前は私だけを見つめ続けておくれ』  嫉妬深い恋人を持つと、本当に大変だ。  でも、平々凡々でどこにでもいるような大学生である俺は、実は意外とこの非日常を気に入っている。
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