冤罪

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取調室の中は、ねずみ色だ。壁も、床も、机も、椅子も、すべてねずみ色。ついでに言えば、取り調べの名の元に次々と入れ代わり立ち代わり現れては尋問を繰り返す刑事の面々も、判を押したように揃ってねずみ色だ。凡そ警官と呼ばれる性根の腐った連中に、姿かたちの良い者を俺はかつて一度も見たことがない。 まただ。また初めて見る顔が取り調べ室に現れた。そいつは机を挟んで俺と向かい合わせに座った。目の前の刑事。どこかで見た顔だ。すぐに思い出した。子供の頃に見た特撮ヒーローに出て来たコオロギをモチーフにした怪人にそっくりな顔をしている。
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