ブドウとネクタイ

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 人には何かしらのルーティンというものがある。意識的なもの、無意識なものと様々なルーティンがあるが、崩してしまうとどことなく落ち着かないもの、それがルーティンだと思う。  私のルーティンは毎朝決まった時間にカフェに行くことだ。決まった時間の地下鉄に乗り、決まったブレンドを頼んで、決まった席に座る。それが電車の遅延でカフェに行く時間が遅れたり、マシンの故障で希望のブレンドが提供されなかったり、先客が居てその席に座れなかったりすると、その日一日が天に見放されたような、至極残念な気持ちになる。  だからカフェでの座席争いは私にとってとても大切なもの――負けられない戦いなのだ。
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