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ここはグリーンアドベンチャーが楽しめる自然豊かな公園。
だけど木枯らしが時折、吹き荒んで冷たい風が身に染みる。
その度に近くに生える大きなヒマラヤスギががさがさかさかさと音を立てる。
重なり合うように生る松ぼっくりが賑やかにおしゃべりを楽しんでいるようだ。
対照的に僕は独りぼっちでベンチに座って項垂れていると、「顔を上げたらどうだい!」と声をかけられた。
僕は驚いてそうしてみると、自分と同じ年恰好の男が目の前に立っていたので更に驚いた。
「どう?僕のファッション?」
不躾に聞かれ、何なんだ、こいつはと思った僕は、当てつけがましい格好に対し不愉快で不可思議な気分になった末、放心してしまった。
「何か言ってよ!」
僕はアバターを見るようで主観的にも客観的にもなり自分がダサいことに気づいて口籠ってしまうと、「どうだ、ダサいだろう?」と率直に問われてもろに自分のことを言われているような気がして甚だ不愉快になり嫌味で自分と同じ格好をしているのかとさえ思えた。
「それじゃあ持てない訳だよ」
図星だったので僕は恥じ入りながら何者なんだ、こいつは!といきり立って思わず叫んだ。
「お前こそ持てないだろ!」
「そりゃあそうさ。君の真似をしてるんだから」
「な、なんだと!」
僕はいよいよ頭に来て男に突っかかって行くと、男はその見た目からは想像がつかない程の馬鹿力で赤子の手をひねるようにいとも簡単に僕を地面にねじ伏せてしまった。
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