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「僕を負かそうとしたって土台無理なことだよ。だって僕は仙人なんだから!」 「せ、仙人!?」 「そうさ」と男は言うや否や白い煙に包まれ、煙が消えた時には玉手箱を開けた浦島太郎みたいに白髪と白髭を茫々に生やし、星野鉄郎みたいにぼろぼろのマントを纏った爺さんに変貌していた。 「どうじゃな、これでわしを仙人と信用したかね?」  僕は度肝を抜かれながら、「え、ええ」と答えるなり平伏してしまった。 「ハッハッハ!そんなに畏まらんでも良い。面を上げなされ」 「はっ、はい!」と僕はあたふたして顔を上げた。 「わしはテレパシーを使うことが出来るから君の心情が手に取るように分かる。君は女にもてないどころか馬鹿にされ、どこの職場でもそれを苦にして長続きせず、結局、プー太郎になって貯金が底をついてしまう。先刻もそれで落ち込んでいたのであろう?」  僕は全く恥じ入って恐れ入って答えた。 「そ、その通りでございます」 「うむ。素直でよろしい。わしは君がお世辞一つ言えず朴訥で真っすぐな性格であることを看破したから是非とも君を助けたくなった。じゃから、これをやろう」と仙人は言って僕にA9サイズの紙切れを差し出した。  受け取って見ると、何の変哲もない普通のメモ用紙だった。
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