3/3
前へ
/6ページ
次へ
「それにな、赤いボールペンで、「モテモテカード」と書くのじゃ。すると、それは有効になってな、それをズボンのポケットに入れさえすれば、どんなダサい恰好をしておっても女に持てるようになるのじゃ。じゃから就職しても上手くやって行けるようになるであろう。そればかりか彼女が出来るであろう」 「それは本当でございますか?」 「仙人に二言はない。但し、有効になったカードは白紙にコピーされると、それも有効になってしまうから下手をすると、とんでもないことにもなり兼ねない。その辺は弁えておくが良い」 「あの、とんでもないこととは?」 「考えれば分かるじゃろ」 「はあ・・・」 「まあ、兎に角、君の成功を祈る。さらばじゃ!」  仙人はそう言ったかと思うと、一瞬の内に煙となってドロンしてしまった。  今まで仙人が立っていた所にヒマラヤスギの球果がぽつんとある。  僕はそれに何故か惹きつけられ、ぼんやりと見入った。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加