モテモテカード

後

　そんな訳で承知した加藤は翌日、僕がコピーしたカードを受け取ってそれをポケットに入れた。
　すると、加藤も忽ち女性社員にモテモテになってしまい、僕は会社切っての美人で本命の女性社員を加藤と奪い合うことになって僕たちは三角関係になってしまった。
　尚且つ加藤は自分のフェイスブックページにモテモテカードの画像をアップして、「僕のフォロワーの方々に耳よりの情報！」と題して、「モテモテカードをコピーしてポケットに入れさえすれば、あなたも女性に持てること間違いなし！さあ、あなたも僕と一緒にモテモテ人生をシェアしよう！」なぞと掲載してしまったものだから物は試しにとモテモテカードをコピーしてポケットに入れてみたら実際に持てるようになった者たちの喜びのコメントが加藤のフェイスブックページに殺到した。
　で、それを見た者たちも試すことになるからモテモテカードが拡散し、中にはモテモテカードをコピー機やプリンターで量産してネットショップを立ち上げ、金儲けする者まで現れたので益々モテモテカードが拡散した。
　だから全国津々浦々雨後の筍のようにモテモテ男が現れて国中モテモテ男だらけになり、僕の会社の男性社員も皆、モテモテ男になってしまった。
　となると僕は女に持てることに有難味がなくなり、加藤に本命の女を譲ることになり、加藤の得意顔を見たくなくなり、加藤と仲が悪くなり、挙句の果てに会社に居た堪れなくなり、会社を辞め、或る日、再びプー太郎として公園のベンチに項垂れて座っていた。
　すると、前会った時から約一ヶ月ぶりに仙人がひょっこりと僕の眼前に現れて開口一番、「だから言ったじゃろ」