ひとりぼっちのヒーローごっこ

ヒーローごっこ1

　ぼくは、その昔(むかし)に、本気(ほんき)で世界(せかい)を救(すく)えると思(おも)っていたんだ。

　のんびりと今日(きょう)の作業(さぎょう)について確認(かくにん)する。

　この荒(あ)れた土地(とち)をならしてから、種(たね)をまいて、苗木(なえぎ)を植(う)えて。

　と、その前(まえ)に、この荒放題(あれほうだい)にのびた雑草(ざっそう)たちを刈(か)らないとな。

　いつのまに、こんなにもここは草木(くさき)の生(お)い茂(しげ)る場所(ばしょ)へと変貌(へんぼう)してしまったのだろうか。

　少(すく)なくとも四年前(よねんまえ)にはここは、それこそ不毛(ふもう)の大地(だいち)として今(いま)とは異(こと)なる荒(あ)れ方(かた)をしていたんだ。

　ぼくは、地道(じみち)に草刈(くさか)りの作業(さぎょう)を進(すす)めながら、半(なか)ば夢見心地(ゆめみごこち)になってその昔(むかし)の思(おも)い出(で)をふりかえってみた。