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ヒーローごっこ2
四年前というと、ぼくがまだ十二歳の頃。
その頃のぼくはまだおさない子どもで、ただただ、このちっぽけな世界くらいならば救えるんじゃないかと本気で思っていた。
久々の草刈りの作業は思ったよりも大変な作業で、とくにこの星の芯まで届いているんじゃないかと思うほどにのびた根っこを引っこ抜くのに苦労していた。
ようやっと計画した半分くらいの土地の雑草を刈り終えたけど、それまでに太陽が三つくらい通りすぎてしまっていたように思う。
この人工的に造られた土地の上、あるいはその下でも、この人工的でない植物たちはこんなにもしっかりと根をはりめぐらせていたんだ、という事実に少し感動した。
雑草たちと格闘してからだいぶ時間が経ってしまった。
いつのまにか、ぼくは夢の奥底に、なにか可視化できない類のモンスターに対してヒーローごっこをしていたときの思い出をたぐりよせていた。
ほかの遠くにいる子どもたちは、アニメや特撮番組に出てくる敵の名とその子どもたちのヒーロー・ヒロインの必殺技を叫びながら、キックやパンチをくらわすという。
けれどもぼくの敵は、だれかがつくったキャラクターではなく、想像上の怪物でもない、リアルなものだったということを覚えている。
ぼくの敵は、たしかにリアルなものだったけれど、その姿を見ることはできない。今でさえそれをきっちりと捉えることは難しい。けれどもそれは、たしかに存在している。
それはぼくに対抗してくるモンスターであるのだけれど、同時にそれは全人類に対して圧倒的な恐怖と危機をもたらす働きでもあった。
思えばそれは人類が生み出した最悪のモンスターなのかもしれない。
それは、知らず知らずのうちに人々の内に忍びこみ、身体も心もずたずたに引き裂いてしまうクリーチャーだ。
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